
さて、このように「数学好き」の人にとってはまさに天職とも呼びうる「アクチュアリー」という職業ですが、では、一体どうしたらその「アクチュアリー」になることができるのでしょうか。
そもそも、日本で「アクチュアリー」と公式に名乗るためには、日本アクチュアリー会の資格試験に合格し、同会の「正会員」であると認定される必要があります。しかしこれは、平均取得年数8年から9年とも言われる難関の試験。そのため、独学で資格取得を目指すという方はあまり多くなく、一般的には、まず保険会社や信託銀行などにアクチュアリー候補生として採用された上で、会社の金銭的・時間的バックアップを受けて、さまざまな実務をこなしつつ、勉強を進めていくという方が大多数なようです。
試験には、基礎科目5科目の一次試験と、応用科目2科目の二次試験があり、前者は、「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」の5科目から構成されています。ここで二次試験を受けるに足る基礎知識があるかどうかが試され、これらすべてに合格しなければ、次に進むことはできません。
二次試験は、「生保コース」、「損保コース」、「年金コース」の3コースからの選択制。受験者はここで、将来自分の携わりたい分野を選びます。
なお、試験は年一回12月に行われるのみ。一次と二次を同じ年に受験することはできないので、最短でも資格取得には2年かかることになります。
問題例など詳しい試験情報は日本アクチュアリー会のホームページに掲載されているので、興味のある人は一度のぞいてみるとよいでしょう。
『日本アクチュアリー会』
http://www.actuaries.jp/index.html
さて、理系ナビではこれまで継続的にアクチュアリーの方々にインタビューを行ってきましたが、その際「どのような人がアクチュアリーに向いていると思いますか」という質問に対して、頻繁に耳にした意見をここでいくつか挙げてみましょう。
◇数学的素養
文系出身のアクチュアリーもいることから、必ずしも数学全般に関する高度な知識が求められるということはありませんが、少なくとも確率や統計に関してある程度の知識がなくては、アクチュアリー認定試験の一次を突破することも難しいようです。そういう意味でこれは、アクチュアリーにとって必須の素養と言えるかもしれません。
◇論理的思考力
「不確実な将来を予測する」というと、なんだか超能力のような響きがしますが、それは数字を一つ一つ論理的に積み上げていった結果の「超能力」に他なりません。逆に言えば、数字に隠された背景や数字から予測されうる未来を説得力あるものにするためには、細部に至るまで徹底したロジックによる裏打ちが欠かせないのです。
◇コミュニケーション能力
他の多くの職業同様、会社という組織で働く以上、アクチュアリーにも当然コミュニケーション能力は求められます。とりわけ、数理的な作業から導き出された結論を、専門外の人にもわかりやすく伝える能力は大切なようです。
◇柔軟性
アクチュアリーの仕事が、「数学」と最も大きく異なる点の一つとして、正解がひとつではないという点を指摘することが出来ます。ひとつの「解」に固執せずに、常にさまざまな可能性を視野に入れながら作業する柔軟さは、リスクを管理するアクチュアリーにとってはまさに必要不可欠な資質と言えるでしょう。
会社の中でのポジションや経験年数など、さまざまな条件によって数字は変わるので、一概にアクチュアリーが給料の高い職業であるということはできませんが、同資格の保持者が日本でも1000人超しかいないことを考えれば、その希少価値への対価として、企業がアクチュアリーに対してある一定以上の賃金を支払っていると推測することは、あながち的外れではないはずです。そして、金融自由化や年金制度の改革、少子高齢化社会の到来などの影響によって、今後もますます、アクチュアリーに対する需要は高まっていくでしょう。