
日本が世界に誇る一大産業、それが「自動車」産業です。今や世界中いたるところで、トヨタやホンダ、日産といった日本メーカーのエンブレムを冠した自動車を目にすることができると言っても過言ではありません。その巨大さゆえ、自動車産業はしばしば日本経済のバロメーターであるとも言われるほどです。
2007年にはついに、トヨタが生産台数でアメリカのゼネラル・モーターズを抜いて世界首位に立ち、販売台数においても世界一になることがほぼ確実となりました。業界全体で見ても、国内での需要は伸び悩んでいるものの、中国やロシアなど新興国経済の発展のおかげもあり、2002年以来四輪車の生産台数は毎年順調に増加し続けています。もはや積極的なグローバル展開は、自動車メーカーの生き残りをかけて避けて通ることのできない道となりつつあり、世界を相手に仕事をしたいと願う学生にとって自動車業界はうってつけの環境だと言えるかもしれません。
日本自動車工業会によれば、自動車製造業の製造品出荷額等は約50兆円にも及び、これは日本の全製造業の出荷額のうち16.5%を占める計算になります(2005年時点)。まさに名実ともに日本経済の中核を担う、重要な基幹産業だと言えるでしょう。燃料となる原油価格の高騰や環境問題への対応など、越えるべきハードルが少なくないことも事実ですが、自動車メーカー各社合計の純利益もここ数年は伸び続けており、2008年以降もしばらく自動車業界全体の好況は続くと見られています。
では、そんな自動車業界では、どのような理系エンジニアたちが活躍しているのでしょうか。
自動車メーカーのエンジニアと聞いて最初にパッと思い浮かぶのは、自動車の開発・設計を行うエンジニアたちですが、それ以外にも、例えば自動車を安定的に供給するための生産ラインを構築するエンジニアや、出来上がった車の性能や安全性をチェック・評価するエンジニア、また企業内のITシステムを開発するエンジニアなど、一口に自動車製造といっても、そこには多岐に渡る理系の職種が存在しています。また、最近では各自動車メーカーとも、環境問題への取り組みに特に力を注いでいますから、それに関わる技術を研究するエンジニアの存在も忘れるわけにはいきません。
そしてそもそも、自動車はトヨタやホンダなどの自動車メーカーのみによって製造されているわけではない、という点も指摘しておく必要があるでしょう。1台の自動車を製造するために必要な部品の数は、約2万点から3万点。ネジの一本から、タイヤ、シート、エンジン、ステアリングに至るまで、自動車開発にはさまざまな分野における最新のテクノロジーがふんだんに利用されており、通常自動車メーカーはそれらを外部からまかなっています。例えば、自動車のボディとなる金属加工を専門に行う企業もあれば、ブレーキシステムの開発に特化した企業もあり、そうした分野においても多くの理系エンジニアたちが活躍しているのです。最近では、カーナビやETCなどに代表されるように、ITS(Intelligent Transport Systems)と呼ばれる高度道路交通システムの分野での技術進歩も目覚しく、その開発に携わる企業も業界内で急速に存在感を強めつつあります。自動車産業とはこのように、さまざまな分野で最先端をいくスペシャリストたちによって支えられているといえるでしょう。