
アメリカやイギリスでは1970年代から80年代にかけて、物理学や数学のプロフェッショナルが、徐々に金融の世界で存在感を増してきたと言われています。
彼らは、高度な数学的知識と統計的手法を駆使して、市場の動きや将来起こりうるリスクを数値化し、株式・証券の価格付けやさまざまな金融派生商品の開発・運用などのプロセスを、明確な理論のもとに体系化しようと試みました。
投資の課題に対するこのような手法は、計量分析(quantitative analysis)と呼ばれ、
その専門家のことをクォンツ(quant)と言います。
証券会社や銀行といった金融機関での実務を通じて彼らが蓄積したファイナンスに関する一連の知識や理論は、現在「金融工学」という名で知られている学問の発展に、大きな貢献を果たしました。
しばしば欧米に遅れをとっていると言われる日本金融。
確かに日本ではクォンツという呼称もあまり一般的ではない上、そもそもその定義自体も曖昧なようです。
とはいえ、金融の世界において数学的モデルに基づいた計量分析が重要であることは言うまでもありません。
実際多くの金融機関は、近年クォンツになりうる素質を持った理系人材の登用に
積極的になっています。
2005年には、東京大学の大学院に、金融システム専攻という金融の専門家育成を目的とした学科が
新設されました。
興味深いのは、この学科が、理工系学部出身者の入学を奨励していること。
数学や統計学、計算科学などを多用する金融の世界では、
理系バックグラウンドを持つ人間こそ活躍のチャンスがあるといえるのかもしれません。