
一口に「クォンツ」といってもその仕事内容は多岐に渡り、前述のように定義も各金融機関で微妙に異なりますが、一般的には「投資」に関するさまざまなリサーチを行う計量分析の専門家のことを「クォンツ」と呼んでいるようです。
例えば証券会社におけるクォンツの仕事の一つは、債権やデリバティブなどを売る際どうすれば利益を最大化できるのかを、数学的・統計学的手法を駆使して分析すること。商品開発、リスク管理、資産運用、市場動向および企業財務の分析など、「投資」に伴うさまざまな課題を、多角的な視点から計量的に解決していきます。
金融機関が利益を得る「仕組み」の、最も根本的な部分に携わる仕事だと言えるでしょう。
また、プログラミング技術を使って、こうしたプロセスを専門家以外でも利用できるようなシステムへと落とし込むのも彼らの重要な仕事です。
それゆえ、クォンツとして働く上で高度なITスキルが必要になるというケースも少なくありません。
ITスキル以外にも、クォンツを目指す上で有効な理系バックグラウンドは多々あります。
例えば、数学科出身の方にとっては、クォンツはアクチュアリーと並んで、確率論や統計学、解析学、代数学など、大学で学んできたことをダイレクトに活かすことが出来る数少ない職業の一つであると言えるでしょう。
とはいえ、もちろん、数学科卒でなければクォンツになれないというわけではありません。
実際、日本でクォンツとして活躍している方々の多くは理工系出身ですし、
中には経済学部などの文系学部卒の方もいるようです。
いずれにせよ、理系大学生とクォンツという職業を結びつける際に最も大きなアドバンテージの一つだと考えられるのは、やはり「数字に対するセンス」なのではないでしょうか。日々の実験・研究におけるデータ解析や計算を通じて培った数理センスは、クォンツに必要となる数学や統計学の知識を新しく身につける上でも、きっと大きな役に立つはずです。
さて、ここまで簡単にクォンツという職業について説明してきましたが、もう少し詳しく知りたいという方にオススメなのが、『物理学者、ウォール街を往く。』(東洋経済新報社)という本。これは、世界的なクォンツとして名高いエマニュエル・ダーマンの自伝で、もともと物理学者だった彼が、AT&T社ベル研究所のエンジニア職を経て、ゴールドマン・サックスのクォンツへと転進していく様子が描かれています。金融業界を目指す理系の方にとっては、なかなか興味深いキャリアの歩み方なのでは?
もっともダーマンの場合、必ずしも自分から望んで金融業界に進んでいったというわけではないようですが、少なくとも本書を読む限り、彼にとってクォンツが、知的好奇心を刺激する魅力的な職業であるということだけは間違いなさそうです。
クォンツという仕事の面白さも難しさもすべて知りたいという方は、ぜひ一度手にとってみるとよいでしょう。