
『人の値段 考え方と計算』は、“人の値段”を検証する。打率・防御率から野球選手の年棒を、集客力からオーケストラ指揮者のギャラを、発表論文の影響力から研究者の価値を――。定量可能な裏付けから算出するアプローチは論理的に思えるが、「功績はさまざまな要素が複雑に絡み合うものだから、数値化なんてできない」という反論も予想される。実際問題、人間の価値を数字で表すなんて不可能だ。論理的なアプローチも、前提があやふやなら説得力に欠けるのだから。
では、東大名誉教授という肩書きを持ち、理系出身である西村がなぜこんな“非論理的”な挑戦をするのか――。
『人の値段』の焦点は、実のところ中村修二にある。理系人で彼を知らない人は居ないだろう。中村修二が青色発光ダイオードを発明した対価として、東京地裁は日亜化学に200億円の支払いを命じた。この判決には「みんなの発見なのに、彼だけに報酬が支払われるのはおかしい」と論拠も示さず非難する声が多く、中には「裁判官がおかしい」といった中傷もあった。
西村は、200億円がおかしいなら「定量的根拠を示し、再度判断を求めればよい」と主張する。ここに前出の疑問「人の値段を正確に付けるなんて不可能なのになぜ?」の答えがある。現実には、数値化できないものの数値化が求められる場面もあるからだ。
「報われない影の功労者」とやゆされがちな理系人だからこそ、「実質以上の評価は要らないにしても正当な評価を」と、理系の西村が問題提起する気概あふれる一冊だ。
| 『ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?』 | |
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ウィリアム パウンドストーン(著) 松浦俊輔(訳) 青土社 2310円
「富士山をどう動かしますか?」「世界中のピアノ調律師の数は?」「鏡が上下でなく左右を逆転させるのはなぜ?」……。これらは、Microsoft米国本社の採用選考で出された「パズル面接」の一例だ。
本書では、過去の出題例と模範解答、類似問題の攻略法が多数紹介されている。しかし、単なる「問題集」とは一味違う。読み進むうちに、唯一無二の答えばかりではなく、柔軟な応対と発想力こそが求められるのだと分かってくる。次第に、Microsoftで働くトップエンジニアと自らの差を、意識するようになるかもしれない。 |
| 『証券アナリストのための企業分析(第3版)』 | |
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日本証券アナリスト協会 東洋経済 2310円
ドイツ証券投資戦略部門のインターンシップ担当者推薦の一冊。金融系インターンシップの「財務分析サポート業務」に就く前に一読すると、より「充実した」経験が得られるだろうということだ。財務分析には簿記の資格を持っている方が望ましいが、2級獲得におよそ半年近くもかかってしまう。インターン前に実践的な知識を効率よく蓄えるのに、『証券アナリストのための企業分析』は絶好の一冊なのだ。 本書では、「経営戦略」「財務・証券分析」「企業分析」など、証券アナリストに必要な基礎が解説されている。基礎とはいえ、経済用語になじみがない学生には、かなり難解な内容だ。「読む」というよりも、机に向かって「勉強」することになる人も多いだろう。 しかし、苦労した分、力となる。現場で聞く用語が「初耳」ではなく「既知」になれば、金融インターンがより充実したものになることは想像に難くない。 |