優秀な人材ほど、早く“知的に”働くべき
成毛氏にとって、マイクロソフト時代から譲れないことがある。それは妥協せず、本当に優秀な人材だけを採用することだ。
7000人を超えるマイクロソフトの開発部門の中で、博士の肩書きを持つ社員は半数近くも居る。ところが、開発を主導するアーキテクトの肩書きを持てるのは70人程度にすぎない。「組織の中で知的な仕事ができる社員は10%も居ないと思います。それだけに10%に入れる人は、大学の講義を受けるだけではなく、単にインターンシップに参加するだけではなく、さらに上の次元でアルバイトや社員として知的な業務にかかわるべきでしょう。大脳のある一部分を、果てしなく使わざるを得ない状況に追い込むことが必要です。そうしないと、せっかくの能力がもったいない」インスパイアでも、毎年1~2人ほどの学生を新卒で採用しているが、記憶力、理解力、論理性、言語能力と、とにかく完璧なまでの能力の高さを求めている。多少妥協した採用をしたところで、実は組織として出せるアウトプットに大きな差は生まれないそうだ。だが、仕事の楽しさが決定的なまでに変わってくるというのだ。「優秀な人が一番楽しいと感じるのは、自分が優秀だと感じる相手の隣で働くときだと思います。私もマイクロソフトで働いていたころ、給与とかストックオプションといった金銭的な面ではなく、周りの人材が優秀であるところに一番の魅力を感じていました。ビル・ゲイツをはじめ、社内には本当に天才しかいなくて、彼らと一緒に仕事をすることほど面白いことはなかったのです」
理系が幸せになれる会社選び
理系学生がインターンシップや就職先を選ぶ際、どのような軸を持つべきか成毛氏にアドバイスを求めると「自分のやりたいことが許されるかどうかでしょう」という回答が返ってきた。
大学の研究室を出て会社でモノをつくるとなると、会社の方針に左右されるようになる。つくりたいものがあるのなら、つくりたいものを是としてくれる会社に進まないと、双方にとって不幸なことになってしまう。
そのために最も効果的な活動は、先輩社員に会うこと。昔ながらのやり方だが、「やりたいことが認められるか」、「一緒に働いて楽しいと思えるほど先輩社員が優秀か」、自分の目で直接確認することが大切だとする。「これから5~6年の就職活動は、学生有利の売り手市場。こちらから企業を面接に行ってやるくらいの気持ちでいいのではないでしょうか」
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成毛 眞(ナルケ マコト)
1955年、北海道に生まれる。中央大学商学部卒業後、大金アールエム株式会社に入社。株式会社アスキーを経て、86年にマイクロソフト日本法人に転職する。OEM営業部長、取締役マーケティング部長として活躍し、91年には35歳で代表取締役社長に就任。2000年に同社を退職し、株式会社インスパイアを設立する。主な著書に『成毛式・実践マーケティング塾』、『会社のつくり方』(以上、日本経済新聞社)、『トーキョー金融道』(日経BP社)など。 |