大学で学んだ数字がダイレクトで結びつく職業

平成十二年、第一生命に入社した山本舞さんは、現在同社の企業年金数理室で年金アクチュアリーとして働いている。大学では数学を専攻していたという彼女だが、保険会社でのアクチュアリーという仕事を志すきっかけは一体何だったのだろうか。
「数学科卒業後の進路というのは非常に限られていて、教師になるか大学院に行く人がほとんどでした。だけど私はもう少し広い世界で仕事をしてみたかった。そう思っているときに、ちょうど先輩にアクチュアリーという職業があると伺ったんです。大学で学んだ数学がダイレクトに活かせて、なおかつ世間にも出て行けるという、私にとっては理想的な職業でした。」
第一生命の場合、アクチュアリーは生命保険担当と企業年金担当の二つに大別することができるが、どちらにおいても最低限の数学的な素養は必要不可欠だ。山本さんが現在携わっている、企業年金制度の運営にかかわる保険料の計算や、将来予測、分析などの数理業務においても、大学時代に身に付けた確率・統計の基礎知識は大いに役立っているという。日本アクチュアリー会によれば、現在日本には約1100のアクチュアリーがいるが、その大半が理系出身者で占められている。
とはいえ、ただ数学が好きというだけで務まるような仕事ではない。アクチュアリーと名乗るためには、日本アクチュアリー会による試験に合格する必要がある。生保数理や会計など合計7科目からなる同試験に合格するためには、約9年を要すると言われる。
また、山本さんのような年金アクチュアリーの場合、営業担当とともに直接企業の経営者と話し合う機会も多く、そこではコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も同等かそれ以上に求められる。数学の世界とは異なり、お客さまの求めているものは何か、という漠然とした問いに対する正解は決して一つではなく、ましてやそれは計算によって導き出されるものではないのだ。
「私にとって、アクチュアリーという仕事の醍醐味は、まさにこうしたコンサルティング的な部分にあります。計算作業に追われているときは苦しいこともありますが、計算業務より難しいけれども、お客さまとの直接対話を通じてニーズを汲み取り、その問題を自分で解決できたときには、目に見えた達成感を得ることが出来ますね」