アクチュアリーという職業のもう一つの魅力として、山本さんはそれが完全に実力主義の世界だという点を挙げる。「確かに現在、女性のアクチュアリーの数は少ないのですが、それはあくまでも理系女性全体の絶対数が少ないからにほかならず、アクチュアリーになる上で何か男女に決定的な差があるとは思いません」
数学的な素養や数字に対するセンスが厳格に求められる専門職だからこそ、性差によって理不尽な評価が下されることはない。あくまでも個々人の能力に応じて仕事が割り振られるのだ。
「理系女性の強みというのは、自身に秀でたものが明確な点だと思います。例えば、それは数学かもしれないし、物理かもしれません。アクチュアリーに限らず、そうした『一芸』の部分を武器にして勝負することのできる職場というのは、理系女性にとっては非常に働きやすい環境なのではないでしょうか。」
だが、実力主義というのは、言い換えれば女性も男性と同じような働きを求められる世界だということ。将来的に出産や育児などと仕事を両立する必要のある女性が、現実問題として男性と同じように働くことは可能なのだろうか。 「その点について、第一生命では、ポジティブアクション(女性職員の活躍推進に向けた取り組み)を打ち出し、家庭と仕事の両立を支援する制度が非常に充実しています。また、女性職員の数が多い会社ですから、周りに生き方や仕事のロールモデルとなる先輩が大勢いる点でとても参考になりますね。」
出産・育児支援などの制度が形骸化している企業が多い中で、同社は確実に一定の成果を挙げる。産休・育休後の復職がしやすい環境をつくることで、男女が平等にプロフェッショナルとしてキャリアを積むことができる職場を実現しているのだ。目の前にこのようなロールモデルが多数あるというのは、文理問わず、女性が自らのキャリアを考える上で有用であることは間違いないだろう。
そしてこのような職場環境だからこそ、山本さんは自身を「女性アクチュアリー」だと考えたこともないと言う。 「あくまでも自分は『アクチュアリー』であり、そこには男性も女性も関係ありません」
そう言い切る彼女の表情は、アクチュアリーという専門職に対する確かな自負心とプロフェッショナリズムを感じさせてくれた。
| プロフィール |
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山本 舞
第一生命保険相互会社
企業年金数理室 課長補佐
日本アクチュアリー会正会員
名古屋大学理学部数理学科卒 |