植物と人間の新しいコミュニケーションのかたち
普遍的な真理の探究や、万人の役に立つようなテクノロジーの開発――。サイエンスやエンジニアリングの目指すゴールは様々だが、田中研究室では「誰も見たことの無いものをつくる」ということに究極の価値を見出しているという。コンピュータのデジタル技術と自然物を連携させるという斬新なインターフェイスのコンセプトも、そうした視点から生まれたものだ。
「それに加えて、私が慶應大学に赴任することになった3年前は、地球環境への問題意識が高まりつつあった時期でもありました。テクノロジーの進展とエコロジカルな実社会をどうやって接続させるのか。その問いに対する一つの答えが、植物インターフェイスだったと言えます」
自身のこうした研究スタイルを、「発明志向」と呼ぶ田中氏。では、その発明の先には、一体何が待っているのだろうか。
「例えばプランティオの場合、植物が持つ千差万別の生体電位反応を、すべてデータベース化できるという可能性があります。実は植物は、種類や時間、場所によって、毎回異なる生体反応を見せるのです。そのために、精度という点で植物は必ずしもセンサーに向いているとは言えないんです。しかし、もしプランティオを世界中に普及させ、各ユーザーが測定した植物の生体電位反応を、インターネット上の一つのデータベースに集約させることができれば、そこから何か普遍的なパターンや法則のようなものが導き出せるかもしれません」
植物インターフェイスというプラットフォームの上に、インターネットというインフラが生み出す「集合知」を蓄積する。現在でも未知の部分が多いという植物のメカニズムだが、もし同実験がそこに何らかの光明を与えることが出来れば、植物と人間のコミュニケーションのかたちは、これまでとは全く異なるものとなりうるかもしれない。
| プロフィール |
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1998年 京都大学総合人間学部卒
2000年 同大学院人間環境学研究科修了
2003年 東京大学大学院工学系研究科博士後期課程修了
2005年 慶応義塾大学環境情報学部専任講師
専攻分野は、空間情報科学、空間認知科学。東京大学空間情報科学センター客員研究員、首都大学東京非常勤講師なども務めている。 |