「IT革命」という言葉が流行語大賞に選ばれたのが2000年。それから7年の月日が経った今、情報通信の技術はあらゆる場面で「当たり前」のものとなりつつあります。ケータイやパソコンはわれわれの生活と密接に結びつき、ほとんどすべての産業がもはやITなしでは成立しえなくなっているほどです。言い換えれば、IT業界で働くということは、あらゆる産業とかかわりを持つこと。果たして、そこにはどんな可能性が待っているのでしょうか―。
IT業界で無限の夢を描け
新興市場国の成長に伴い、世界規模で順調な推移を見せている経済状況。日本企業もさまざまな業種・職種で積極的な採用活動を繰り広げており、その中でもIT業界の勢いはひときわ目立っているようです。
長らく不況に苦しんでいた同業界ですが、2005年以降、企業のIT投資意欲は年々強まっており、2007年度の世界のIT支出額は前年を8%上回る3兆1000億ドルを記録、2008年には3兆3000億ドル程度にまで達する見通しだとも言われています。(米調査会社Gartner調べ)また、インターネットの分野でも、検索の最大手企業であるGoogleの時価総額が2000億ドルを越えたというニュースが世間を騒がせるなど、IT業界全体に再び明るい時代は訪れつつあるようです。
そして、こうした産業の成長とともに、その担い手となるエンジニアへの需要も急速に高まっています。ITエンジニアの仕事の魅力は、何と言ってもその影響力の大きさ。身の回りにパソコンや携帯電話を始めとしたさまざまな電子機器が溢れ、世界中をコンピュータ・ネットワークが覆う今日、ITは、ガスや水道、電気などと並び、もはや我々の生活にとって欠かすことの出来ない重要なインフラの一つとなっています。それに携わる仕事とは、すなわち、人々の暮らしや産業に革命的な変化をもたらす可能性のある仕事だと言うことができるでしょう。あなたの書いたプログラムが世界のあり方を変えることだって大いにありえるのです。
また、ITエンジニアは手に職をつけることのできる仕事でもあります。今や業界問わずほとんどの企業は情報システム部門を持っていますから、実力さえ蓄えておけば、所属する企業に依存しないで、世間に通用する人材になれるのがこの職業の魅力でもあるでしょう。Googleのような会社で世界中の人に使われるソフトを独りでつくったり、20代半ばにして1000万円を越える年収を手にしたり……。実力次第で夢が無限大に広がる世界、それがIT業界なのです。
ITの仕事=プログラミングだけではない

IT業界の仕事と聞いて、単純なプログラミング作業ばかりをイメージしてしまう方は多いのではないでしょうか。確かにITエンジニアにとって、コンピュータやプログラミングの知識は必要不可欠です。しかし、次ページ以降でも紹介しているように、IT業界にはプログラマー以外にもさまざまな職種が存在しています。例えば、企業向けのコンピュータシステムを構築するSIer系の企業で働く場合、ただプログラミングするだけの能力よりも、顧客がどんなシステムを望んでいるかをヒアリングして、適切なシステムを構築・提案するコンサルタントとしての能力も重要になってきます。ビジネスとITがほとんど不可分になっている現在、企業の競争力を高めるための経営戦略を立案するコンサルティングファームと、こうしたSIer系企業の境界は曖昧になりつつあると言えるでしょう。
また、理系学生さんの中には、ITエンジニアがどこまでいっても文系経営者の下働きでしかないことを懸念し、IT業界への就職を敬遠する方も少なくないようです。しかし実際には、ITエンジニアの道をきわめ、企業の最高技術責任者(CTO)や最高情報責任者(CIO)を目指すという選択肢もあります。
インターネット業界では、WEB2.0世代の一連のサービスが登場し、技術がビジネスを牽引する主要因になりうると認識され始めているようです。Googleをはじめとする気鋭の企業はエンジニアの働きやすい環境を整備したラボ組織をわれ先に設立していますし、あるいは事業を率いる立場の仕事には技術がわかる人間しかつけないようにする企業なども現れています。技術者が技術力でビジネスをリードする。インターネット業界には今、そんな環境が整いつつあります。
IT業界で活躍するために
ほかの業界と同じように、IT企業が求める人物像にも「コミュニケーション能力」や「論理的思考力」などといった言葉は常に出てきます。例えばプログラムを書くにしても、皆さんも研究室で数人チームで作業したことがあるかもしれませんが、企業では100人を越える規模になることもあります。ただ書くだけではなく、どんなシステムが必要とされているのか理解して、自分の主張や作業進捗を伝える力のあるメンバーがそろっていなくては、プロジェクトが立ち行かなくなります。また他業界と同様、IT業界でも将来的にはマネジメント層に進むことが望まれますから、それに伴うスキルも必要とされるでしょう。
では、他業界とは違うIT業界の特徴は何でしょう。一つ挙げるとすれば、それは「スピード感があること」ではないでしょうか。IT業界では次々に新しい製品や技術が登場しますから、新しいものに対するアンテナを広げ、保守的にならずにチャレンジしようとする意識が何より求められます。エンジニアとして一つの道を突き詰めるとともに、新しい技術への興味を失わずに適応できる人材。そんな人が評価され、満足して働けるのがIT業界なのです。