「物を見る」→「認識する」という従来のマシンビジョンの技術に、新たに「考える」機能を付加した技術= IMV (Intelligent Machine Vision:) 。このIMVをコアテクノロジーとして、世界最高水準の電子回路プリント基板の品質検査ロボット(AOI)を製品化、国内外のさまざまな産業分野でものづくりに貢献している株式会社サキコーポレーション。彼らの目指すロボットにとっての知能とは何なのか?
SFの世界に憧れて
ロボットというと何を想像するだろうか?
鉄腕アトム、ドラえもん、ガンダム…。これらに共通するのは二足歩行をし、時に人間以上の知能や働きを見せるロボットだということだ。人間のような眼と脳を持つロボット。そうした先入観でサキコーポレーションの「ロボット」を見ると、箱型の筐体に戸惑うかもしれない。
サキコーポレーションは現在、独自に開発したインテリジェント・マシン・ビジョン(IMV:Intelligent Machine Vision)の技術により、電子回路プリント基板の品質検査ロボット(自動外観検査装置=AOI:Automated Optical Inspection System)を製品化し、国内外のさまざまな産業分野でものづくりに貢献している。一見、この何の変哲もない筐体こそ、世界に誇る最新技術の集積であり、携帯電話やパソコン、デジカメ、ゲーム機、TV、DVDプレーヤー、カーナビなどの中枢になる電子回路基板を製造工程でチェックし、不良率を減少させるロボットなのだ。
「『2001年宇宙の旅』とか、『鉄腕アトム』に憧れて大人になってきた世代なんですよ。人と会話し、未来都市や宇宙船を制御するような"自律的"な頭脳を持ったロボット。漫画や映画に出てくるようなマザーコンピュータを作りたかった」と同社の秋山吉宏CTOは、子供の頃の夢を語る。
しかし、現実は違ってきた。今日、オートメーションの工場には作業用ロボットがあふれ、人間の腕を代行する。一方、コンピューターの記録・計算能力も大幅に増大した。しかし、これは秋山氏の夢見ていたロボットとは異なる存在だという。
「人間の手足に当たるものはありますね。でも会話をしたり、ものを見て認識するという技術は一向に実現されない」。飛躍的な科学の進歩は、皮肉なことに人間に近いものを作るのが、いかに困難かを明らかにしてきたともいえる。
「当社のAOIはいわば、鉄腕アトムの目と脳の部分を目指すものなのです。人間なら誰でもできる、目で見て、実際に触って判断するという事が、ロボットでは未だに実現していない。ではプリント基板の検査機の分野でそれを実現してみようと思ったわけです」。