バリューチェーンという視点
「キャリアとは、自分と環境と機会の掛け算の結果だと思います。まず、自分自身を知ること。自分は、どうありたいのか。そして、環境は生まれ育った環境と現在の環境がありますね。現在の環境は変えることができます。機会は、ときには自分から積極的にとらえにいくことも必要です」
こうありたいという自分と現在の自分とを比較し、ときどき軌道修正することが必要だと、程氏は強調する。自分を理解するためには、トライアンドエラーが不可避なのだ。
「コンサルタントはじつは理系向きの職業なのです。理系=現場のものづくりだけではありません。ものづくりというバリューチェーンを考えると、理系の人材がかかわる部分がたくさんあります。理系の人には、現場のものづくりだけでなく、バリューチェーンという広い視野で自分のキャリアを考えて欲しいですね」
もちろん、理系としてかかわるのであるから、当然、理系的な考え方を身につけておく必要がある。コンサルタントであれば、ディベートなどで基礎的なプレゼンテーション力や交渉力を養っておくことも重要だ。
組織の中で「異物」でいる
「同じような価値観を持った同質の人の中にいるのは安心感があります。私自身は、それはそれでいいと思っています。しかし、コンサルタントには、常に異なる分野に進出する、新しいチャレンジを求める人が多いように感じています」
程氏自身、海外留学経験という、当時としては異色のキャリアを持っていたため、社内でも「目立つ」存在だったという。
どのようなキャリアを形成するかは、自分自身を見つめて、トライアンドエラーを繰り返すことによってしか、見つけることはできない。しかし、程氏のように「他人と違う」ことを目指すのも自分のキャリアを見つける一つの方法かも知れない。
アクセンチュアでコンサルティングにかかわるのであれば、10年は飽きさせませんと胸を張る程氏の社長としての目下の目標は、業界で一番先進的なビジネスモデルを持つ企業にアクセンチュアを育てることだという。
程氏が社長に就任して約1年半。1年半後の程氏は、自分自身のキャリアをどのように振り返っているのだろうか。
|
程 近智(ほど・ちかとも)
1982年、米国スタンフォード大学部卒業、同年アクセンチュア入社。
1987年同社マネジャー。
1989年、米国コロンビア大学経営大学院(MBA)留学のため休職、
91年、同卒業、アクセンチュアシニア・マネジャーとして復職。
1995年、同社パートナー。
2000年、同社戦略グループ統括パートナーとなり、2001年に通信事業統括、2004年に通信・ハイテク統括本部統括となり、現在に至る。
企業戦略の立案からシステム導入、アウトソーシングなどのプロジェクト経験は60社以上にのぼる。 |