――現在の業務内容を教えてください。

 簡単に言うと、市場で株式や先物を売買して利益を上げるのが主な業務ですね。当社の株式トレーディング部は、大別すると2チームあります。ひとつは、個別企業の業績や財務状況といったファンダメンタルを分析し、利益の変動をみて取引を行うチーム。もうひとつは、数学や統計学を使って取引を行うチームで、私はこちらに所属しています。  
  私がいるチームでは、トレーダーとIT担当が連携して業務を行います。「どのタイミングで売買するか」や「資金をどう配分するか」といったストラテジー(売買戦略)をトレーダーが決め、IT担当がそのロジックをトレードシステムに組み込みます。システムに不具合がないかをチェックするのも私の仕事のひとつです。
  ファンダメンタルの方ではトレーダーの判断力が求められますが、プログラムトレードの方では株価を単なる数字の羅列と捉え、主観による判断を排除して売買を行っています。

――理系で学んだことで仕事に役立っていることは?

 学生時代は経営システム工学科でオプティマイゼーション(最適化)を研究していましたが、学んでいたことはそのまま業務に繋がっていると思います。
  具体的に何を学んでいたかと言うと、運送業務におけるコストやオペレーションの最適化ですね。運転手の人数とトラックの運行スケジュールが決まっている中で、トラックを最適に動かし、コストを一番低くするにはどうすればよいか。どの倉庫に何人の運転手を呼んで、トラックを何台走行させると効率が良くなるか。そういったことを、企業と共同で研究していました。単純に、扱う対象が株価に変わっただけで、数値に基づいて最適な配分を考えるという点でプロセスが似ているので、今の仕事にも役立っています。

――トレーダーに向いている人とは?

 業務が一人で完結するという点で、理系学生は向いているかもしれません。私の勝手なイメージですが、研究ばかりしている理系学生は、自己完結している人も多いと思うんですよね。淡々と実験と検証を繰り返すわけじゃないですか。  
  メーカーだと、マーケティングや商品企画、製造開発、営業販売というように、プロフィットを出すまでの一連の作業を役割分担しなくてはならない。でも、トレーダーの場合それが全て一人に凝縮されているんです。情報を得て、その情報を使って取引して、プロフィットを出す。だから、個人でパフォーマンスを発揮したい人向きの仕事だと思います。
  あとは、株式売買が好きな人ですね。結果が出ないと厳しい世界なので、好きじゃないと長くやっていけません。採用面接をすると、ほとんどの学生が事前準備をしていませんが、日経平均はいくらなのか、今マーケットで何が話題になっているかくらいは勉強しておいてほしいです。本当にトレーダーの仕事に興味があるのなら、まず自分で口座を開いて実践してみてもいいと思います。実際にやってみたうえで、自分に向いているかを見極めてみてはどうでしょうか。

 

1日のスケジュール
07:30 出社
08:10 朝会。トレーダー間で情報共有。海外マーケットの情報なども含む
09:00 前場スタート。場が開いた直後は緊迫した空気になる
11:00 前場終了。昼食はデスクで食べる
12:30 後場スタート。目の前のスクリーンを滞りなくチェックしトレードする
15:00 後場終了。一日のトレードのおさらい
16:30 夕場スタート。トレードしながら明日の準備やプロジェクトのタスクを進める
19:00 夕場終了。帰宅