松島氏は現在、東京大学大学院で俯瞰工学の教授として、学生と日々を過ごしている。理系の大学教授というと、博士課程、研究助手、准教授、教授と、アカデミックな世界のみでキャリアを形成していくのが日本では一般的。だがそんな中で、松島氏は、ビジネスの世界の第一線で活躍した後大学教授になるという異色の経歴の持ち主だ。

監査法人の仕事とは


 ここ2~3年、企業の粉飾決算を伝える記事が、新聞の一面を飾ることが目につく。エンロンやワールドコムの不正会計問題を契機に、米国では企業の会計報告に偽りがないかを正すため、また企業の内部統制を強化する目的で2002年に企業改革法(SOX法)が制定された。日本でも2006年にSOX法にならった金融商品取引法(J―SOX法)が成立し、今年の4月から施行されている。
  こうした流れの中で、従来以上に社会的な責任が高まり、重要性が増してきているのが監査法人の仕事だ。監査法人は、企業の財務報告が信頼できるかどうかをチェックするために、外部から独立した立場で企業の財務諸表の適正性を監査する業務を任されている。
  監査法人の仕事は監査だけではない。株式公開による資金調達や、リスク管理やクライシスマネジメントなど企業戦略に必要なコンサルティングサービスも提供する。企業にとって、事業を続けるために監査法人の手助けは必要不可欠なものなのだ。

公認会計士という資格


 監査法人の仕事は誰にでもできるものではない。そもそも「監査法人」とは、5人以上の公認会計士が共同で設立した法人を指すもので、財務書類の監査・証明業務は公認会計士のみが行えるものと法で定められている。また前述のような経緯もあり、近ごろでは監査のほかにも、企業の内部統制導入の支援や、会計・財務面での助言、主に会計的な見地からの経営戦略の提案に至るまで、専門性を活かしたコンサルタント的な役割も大きくなっている。
  生活に密着したものではないためにあまり認知されていないかもしれないが、実は公認会計士という資格は、医者・弁護士と並んで三大国家資格と称されている。試験は年に1回。2007年度の公認会計士合格者数は2695名、合格率は14.8%と難関だ。
  公認会計士試験の内容は短答式試験、論文式試験の2段階に分かれ、それぞれの過程で会計・監査・企業法などの複数領域で知識・応用力が試される。さらにここまでに行われた試験に合格しても、さらに実務補習、2年以上の業務補助が課せられ、その後の日本公認会計士協会による修了考査に合格し、ようやく公認会計士の資格を取得できる流れとなっている。
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