――非常に手厚い資格取得支援をされていらっしゃいますが、どんな経緯で導入を決められたんでしょうか。

 当社は設立からわずか2年の組織です。これまでの監査法人がやっていないことをやっていこうと。監査法人では新卒採用を行っていても、公認会計士試験に合格した人だけを採るという方針で、狭いターゲットを相手にしていました。ですが、会計士として活躍するポテンシャルを持つ人は、ほかにも居るはずなんですよね。会計士を目指す人は経済学部や商学部出身と思われがちですが、理工系の学部や法学部といった学部の方々にも、会計士のことを理解してもらって業界に足を踏み入れてもらいたいんです。門戸を広げることで業界としても法人としても、人材の多様化・活性化ができるのではないかということで始めたのが当社のプログラムです。
  従来のターゲットの中にもいろんな個性の人が居ますが、これまで会計士を視野に入れていなかった人材にも入ってきてもらうことで、会社の中で化学反応が起きるはずなんですよね。具体的に理系の人が入ることで「○○になってほしい」といった明確なビジョンを定めているわけではありませんが、どんな人でも受け入れられる懐の広い会社になろうと。異なる背景を持った人材が、お互いを支えて刺激し合う関係を築きたいんです。

――人材の多様化は、監査法人のどんな場面で役立ちそうでしょうか。

 会計士の仕事は、さまざまな業界の会社を相手にすることになりますから、会計を見るにせよ、業界特有のビジネスモデルを逐一理解していかないといけません。クライアントと同じ目線で話をするために、プロフェッショナルとしての知識・自信・経験を身に付けてもらいますので、さまざまな経歴の人材がそろうことが、多様な業界の理解に役立つのではないでしょうか。
  近ごろでは、企業の会計処理とITは切っても切り離せない関係にあるので、当社の業務としてシステム監査の役割もあります。会計システムが有効に運用されているか、利用する担当者がシステムを理解して使っているのか、今後は会計の知識とシステムの知識を持ち、全体を把握できる人材の価値が高まってくるでしょう。
  また、こういった技術的な発想の他にも、会社の経営層と対峙していくためには、論理的思考能力が非常に重要になります。監査の結果を論理だてて相手に説明する能力も求められますし、そういった意味でも理系の素地は役に立つと思います。

――理系学生に対して、ほかに期待するところは?

 会計士=文系学部というイメージがあるかもしれませんが、理工系出身の職員が実はかなりの比率で在籍
しています。中には社内で重要なポジションに就いている理系出身者も居ます。
  私は会計士と研究者、共にプロフェッショナルな仕事だと思っています。研究室で1つのテーマをずっと追い求めるのもプロフェッショナリズムなら、公認会計士という国家資格を取得して、研究室から監査法人に場所を移し、監査業務に注力するのもプロフェッショナリズムなのではないでしょうか。会計士の仕事も、突き詰めていく姿勢が求められます。理系の人が持つプロフェッショナリズムは、この業界でも満足させられるのではないでしょうか。
  会計士の仕事は、今進んでいるレールの先に何があるのか、非常に見えにくい仕事です。その意味で、決まったレールを進むよりも、不安定な状態を楽しめて、レールの先に何があるのか分からないことを面白がれるような人とご一緒したいですね。その意味で、理系の方をはじめ、専攻の枠にとらわれずにこの業界に飛び込んで「ゼロからチャレンジしてやろう」という人を歓迎します。