技術立国ニッポン

素材、食品、精密機器、機械、自動車――。私たちの身の回りにある日用品から、産業用機械に使われるパーツまで、さまざまな製品を研究開発し、 生産、販売しているのが「メーカー」です。資源を持たない日本にとって、これら製造業は基幹産業として戦後の経済発展に大きく貢献してきました。 事実この業界には、世界に名だたるリーディング・カンパニーの多くが名を連ねており、日本が「技術立国」と呼ばれるゆえんとなっています。 優秀なエンジニアや研究者がものづくりの現場を支え、イノベーティブな製品を生み出し続けてきたからこそ、 今日の日本はあるといっても過言ではないでしょう。 そして、そんな「日本経済の生命線」とでも呼ぶべきメーカーで活躍しているのが、 理系出身の研究者やエンジニアたち。読者の方々の周りでも、研究室の先輩がメーカーへ就職した、なんていうケースは多いのではないでしょうか。
 しかし、「教授や先輩が薦めるから」という理由だけでメーカーへの就職を志望し、 きちんと業界の情報収集を行わなかったりキャリア形成について考えたりしないのはちょっとキケン。 以下、メーカー就職を志望する理系学生がぶつかりがちな疑問を見ながら、メーカーでどのような自己実現が可能なのかじっくりと考えてみましょう。

メーカーの技術職ってどんなもの?

 理系の学生がメーカーに就職しようと考えた場合、技術職をイメージする方がほとんどなのではないでしょうか。
 しかし、技術職とは言っても、基礎的な研究に従事して新しい理論を追究する「研究者」と、製品開発や改良に取り組んで応用理論を追究する 「開発者」と大きく2つのタイプに分けられます。新卒採用の選考時に研究職と開発職を分ける企業もありますので、 物事を突き詰めて考えていく研究者になりたいのか、それともお客様のためにものづくりに取り組む開発者になりたいのか、 自分のモチベーションや進みたい方向性を事前に掴んでおくことが大切でしょう。
   このほかにも、メーカー内にはさまざまな理系技術職がありますが、それについては後ほど紹介します。

大学での研究テーマは活かせるの?

  大学院まで進んだ方なら特に、「研究テーマを仕事に活かしたい」と考えていることでしょう。 しかし、「大学・大学院での研究テーマは重視しない」という企業が多く、企業系列の研究所を除けば、 研究テーマをそのまま仕事に活かすことは難しい状況です。 博士課程まで進まれた方なら話は別になりますが、 働く年月が何十年と続くことに比較すれば、学生時代の研究期間は数年程度に過ぎません。また、 中にはどの大学の研究室でもカバーしてない領域を扱う企業もあります。大学時代の研究が実務に直接生きるというケースはまれですので、 そこにあまりに固執しすぎると選考上マイナス評価にも繋がりかねません。 しかし、研究テーマの土台を支える専攻については、 チェックする企業が増えてきます。例えば電機メーカーでは一般的に、機械や電気の基礎知識を持っていれば当然評価されます。 企業が重視するのは、学生時代に何を研究したかではなく、日々の研究を通して培った理系の基礎力だと言ってもいいでしょう。
 ただ、企業側が研究テーマを重視しないということは、逆に言えば、自らの研究と関係のない業界・企業でも、 就職のチャンスがあるということです。企業によっては最初から専攻不問のところもありますので、専攻だけで業界を絞るのではなく、 時間の許す限り自分の可能性を模索し、本当に自分とマッチする業界や企業を探すのもいいかもしれません。

メーカーってずっと研究だけすることになるの?

  メーカーの技術職で就職活動をする際には、「コレをやりたい!」という熱意を持って会社を選ぶことは何より重要ですが、 それ以外に「今後の」研究にどこまでこだわるかも考える必要もあります。 年齢を重ねるにつれて、 技術職として一線で活躍するだけでなく、ジョブローテーションで他部署を経験することになったり、 組織のマネジメントを任されるようになることもあるでしょう。その会社が技術が分かる幹部候補を求めているのか、 研究を突き詰めていくプロフェッショナルを評価するのか、あるいはどちらも認めるのか。 自分がどのようなキャリアを歩みたいのかを考えながら、就職先を検討するように心がけましょう。

 さて、ここまで大きく3つのポイントに焦点を当て理系学生のメーカー就職について考えてみましたが、 まだ自らの将来について明確なイメージが固まらない方も多いかもしれません。ですが、メーカーは比較的大規模な組織の企業が多いため、 例えば技術職系以外の職種への転進も不可能ではないなど、多少の方向修正は入社後でも可能です。 そんな懐の深さも、メーカーの魅力の一つなのかもしれません。

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