国内最大級の企業データを自在に分析し、
分析結果を商品化できるのが最大の魅力
―貴社がお持ちの125万社の企業データを使った商品開発のお仕事をされていると伺いましたが、詳しく教えていただけますか?
当社では「新規に取引を始めても、お金や商品をちゃんと納めてくれる会社か調査してほしい」というお客さまからの依頼を受け、調査員が直接企業を訪問し、調査報告書を作っています。私の所属する部署では、調査を通して得られた定性データを用いて、企業が1年以内に倒産するリスクを数値化する「倒産予測値」という商品を開発しています。数年に1度、定期的にモデルを見直すのですが、私は新しいバージョンのモデル構築に携わりました。
従来の統計的なアプローチでは、決算書の数字など定量データでモデルを作っていたのに対して、「倒産予測値」は調査員が直接見聞きして得た調査報告書の定性データを用いているのが特徴です。人間(調査員)が持っているノウハウで評価し、それを収集・蓄積したデータと、そのデータの統計解析によって予測した結果とを、行ったり来たりしながら構築していきます。
―仕事を進める上で苦労するところは?
「倒産予測値」のモデルを作った後、実際にそれをお客さまに販売する調査員の方々に受け入れてもらうところですかね。
モデルを作る際、どの項目を使うべきか統計解析の理論から選んでいきますが、機械的に選んだ項目では現場の人に納得してもらえません。たとえば「会社の代表者がどこの県出身で何歳以上だと倒産しやすい」と機械的に算出され、その精度がいくら高くても、「それではお客さまに説明して売ることは難しい」と却下されてしまいます。
私は数学科出身なので、ついつい「統計的にこうですから」と説明しがちですが、統計に詳しくない調査員やお客さまも多いため、それだけでは納得してもらえません。そんな中で全員に受け入れてもらうためにはどう説明すればいいか、共通のキーワードを見つけ出して説明するのには苦労しました。
―「次はこんな商品を作りたい」といった構想はありますか?
「倒産予測値」は倒産する確率を企業ごとに出すものですが、一方で、ある企業の倒産がほかの企業の倒産に及ぼす影響にも最近注目が集まっています。たとえば取引・資本関係があったことによる連鎖倒産なのか、それとも業界全体の影響なのかを調べていくと、何かしらの相関性を見出せます。
その相関性をうまく全体のリスクに織り込めないか、分析を進めているところです。
「倒産予測値」では日本で初めて定性データを使ったモデルを作りました。今後も、信用リスクにかかわる商品など、日本を引っ張っていくような商品を開発していきたいです。
当社には国内最大級の質の高い企業データがありますので、何でも自在に分析できるのがこの仕事の最大の魅力ですね。どんな研究機関もここまでのデータは持っていないので、当社ほどリアリティがある分析はできないはずです。自分が作ったモデルが商品化されて、多くの人に使ってもらえるところにも魅力を感じています。
―ほかに魅力に感じるところは?
大学などの研究機関とかかわれるところです。大学には分析するノウハウがあってもデータを持ってないため、当社に相談が来ることが案外多いのです。そこから人脈が広がっていくのは、情報交換という意味でもお互いにメリットがあります。私も、世界的に名前の知られている研究者の方々とお話できる機会を楽しく感じています。
当社はこれまで、調査員が集めてきたデータをそのまま提供することが多かったのですが、今後はそのデータをさらに加工した、新しい商品・サービスの開発に力を入れていきます。アイデアしだいで、新商品を開発できる余地はまだまだあると思っています。
社内は落ち着いた雰囲気で、仕事の進め方は基本的には自主性に任せられており、自由な感じですね。その分、ゼロからテーマを見つけたり、お客さまに必要とされる商品を考え出したりする力が必要ですが、そうしたことに興味を感じられる人には非常におもしろい仕事だと思っています。
産業調査部 産業調査課
鬼頭 拓郎(きとう・たくろう)
中央大学大学院 理工学研究科 数学専攻 卒
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